洋菓子「ゴーフル」で有名な神戸風月堂。
公式サイトにて創業当初から製造販売を続けてきた和菓子の販売を2020年8月末にて終了させることを発表しました。
創業明治30年(1897年)12月12日から長年続けてきた老舗の製菓店がなぜ、今和菓子の製造を終了しなければならなくったのか?
理由が気になる人も多いと思います。
この記事では、なぜ神戸風月堂が和菓子販売製造の123年の歴史に幕を閉じなければならなかったのか?その理由について考察しています。
目次
日本茶需要の減少
神戸風月堂が和菓子販売製造を終了した根本的な原因は日本茶需要の減少だと考えられます。
帝国データバンクによると抹茶など日本茶を始めとした「お茶の専門店」の倒産が増加していると報じています。
その理由として
- 個人消費の茶葉離れ
- 専門店から量販店での購入
が挙げられています。
急須からペットボトルへ
家庭にて急須に茶葉を入れて飲む機会の減少しています。
抹茶をはじめとした日本茶ブームは現在でも続いていますが、では自宅でお抹茶を立てたり、急須に入れて飲む機会があるのか?というと、
60代の女性では約6割、30代では約3割、20代では約2割、男性の場合は60代で約半数、30代以下は3割を下回っているというデータがあります。
一方、「伊右衛門」や「十六茶」などペットボトル飲料の日本茶は売れており、茶葉を急須に入れて飲む習慣からコンビニ等でペットボトルを購入して飲む慣習に変化してしまったことがわかります。
量販店でティーバッグ型や粉末型商品を購入
40代以降の方であれば、お茶の箱が積まており、店頭で茶葉を煎るいい香りがしていた茶葉を販売する「お茶屋さん」が近所にあった記憶のある人も多いのではないでしょうか?
おばあちゃんやお母さんに頼まれてお茶を買いにお使いに行ったこともあると思います。
イオンなどの量販店ができる前はこのような専門店で購入することが一般的であり、急須に入れて飲むのが当たり前だったのですが、量販店にてティーバッグ型や粉末型など、お湯に溶かせば手軽で簡単に飲めるタイプの商品が販売されたことで、茶葉離れが加速しました。
イベント自粛も関係している?
新型コロナウイルスの感染拡大の影響によるイベント等の自粛によってお茶会など、日本茶を提供する機会が減少していることも関係していると思います。
お茶会を例に取れば、狭い空間で隣に座る人との間隔は近く、またお濃い茶など大きな器に入った抹茶を飲み回すものもあり、
とても現在の状況では開催しづらい形態です。
またお友達のお宅にお邪魔してお茶とお茶菓子を出すという慣習も控えていることから、和菓子の需要が減っていることは否めません。
日本茶の返礼品としての需要減
お中元やお歳暮、冠婚葬祭の略式化などによって日本茶の返礼品需要が減っていることも、関係しています。
特にお葬式などの返礼品としてかつては、お茶や海苔は一般的でしたが、現在はお香典などの値段によって相応の返礼品を選べるカタログ式が主流です。
そのため、急須でお茶を飲む習慣が無くなってきている上に、さらに茶葉に触れる機会が減り、家でお茶を飲むことがなくなっています。
神戸風月堂の主な和菓子
- 栗饅頭
- 桃山
- 大輪田(どら焼き)
- かりがね(もなか)
- 神戸異人館巻
- 源氏の由可里
- 季節の和菓子(あゆ等)
- 紅白饅頭
まとめ
https://twitter.com/QqOwlOnQ8W86zKw/status/1239900684759101440
神戸風月堂は明治時代には洋菓子を主力商品として創業した経緯があり、「ゴーフル」など日本を代表する銘菓は今後も引き続き販売されます。
ただ、「神戸異人館巻」や「桃山」など名前は知らなくても、一度は見たことがある和菓子がこの世から消えてしまうのはとっても惜しく悲しいことです。
時代の流れとはいえ、神戸風月堂さんのような超老舗製菓店でさえも和菓子製造・販売から撤退するというのは衝撃のニュースです。
いつの日かまた復活する日を期待しています。。