兵庫県神戸市に本社のある超大手アパレルメーカーのワールドが自社展開してきた以下の5ブランドを終了することを決めました。
- ハッシュアッシュ (HusHusH)
- サンカンシオン(3can4on)
- オゾック(OZOC)
- アクアガール(aquagirl)
- アナトリエ(anatelier)
それに伴い、214店舗を含む低収益店358店が来年3月期中に閉店します。
その理由は新型コロナウイルスによる減収であることは容易に想像が付きますが、それだけではない他の理由があります。
この記事ではなぜOZOCやaquagirlなどメジャーなブランドを展開してた大手アパレルメーカーが、これだけの大きな決断をしなければならないのか?アパレル業界の厳しい現状について理由を探っていきます。
目次
アパレル業界が厳しい理由
- ファストファッションの隆盛
- ファッションECサイト・ネット通販の発展
- コロナによる店頭販売の低迷
ファストファッションの隆盛
まず、第一はユニクロを代表とする低価格&高品質かつ、短期間で大量生産&流通させる「ファストファッション」の隆盛です。
ほんの20年以上前には低価格の洋服は「安かろう悪かろう」と言われたように、すぐに縮んでしまったり生地が安いポリエステルなどを使うなど、着心地の悪いのが一般的でした。
そのためちょっと良い洋服を買うにはデパートなどの専門店、セレクトショップに行かなければならず、お金もかかりました。
しかし、ユニクロの初代フリースが登場した頃から低価格&高品質な洋服が評価されるようになり、「ヒートテック」や「エアリズム」など寒さ、暑さといった機能性のある洋服は無くてはならないものになりました。
デザイン性においてはブランドには勝てませんが、日常着の洋服であれば機能性さえあれば十分という価値観が定着したことは専門ブランドにとって痛手です。
ファッションECサイト・ネット通販の発展
ZOZOなどのファッションECサイトや各ブランドによるネットショップなど、インターネットを通して洋服を買うことが日常になりました。
かつては着る物は実際に店頭に行って見て、試着してから購入するという価値観が根強くありましたが、40代以下の若い世代では、ネット通販で洋服を購入することにあまり抵抗がありません。
買い方として面白いのは、店頭に行ってどのようなものかは確認するのですが、購入はネットでするケースがあります。
店頭に行くとどうしても店員さんの押し売りが苦手であったり、余計な物まで購入してしまうこともあり、店頭離れが進んでいることもアパレル業界が厳しくなっている一因です。
洋服のサブスク(洋服レンタル)の需要増
「airCloset」や「Rcawaii」、「MECHAKARI」「EDIST.CLOSET」「Brista」など月額料金を払って洋服をレンタルするアパレルに対する新しい価値観を持つ人が増えています。
洋服レンタルというと成人式の晴れ着やウエディングドレス、日常だと古着が主流でしたが、どちらかというと多くの女性にとって非日常的なものでした。
しかし、サブスクリプション(定期購読、購入)というサービスが認知されるようになってきた現在では、オシャレな洋服をたくさん着られるといったメリットの方が大きいです。
特に毎日の洋服選びは大変です。同じものを着回して同僚や先輩などの目を気にしなければならないなら、定額料金を支払って見本のコーディネートに合わせるだけでオシャレに見えるのであれば、これほどコスパの良いサービスはありません。
ミニマリストなど物をなるべく持たない考え方も相まって、洋服を買うという価値観が薄れてきています。
コロナによる店頭販売の低迷
何といっても急激にアパレル業過の業績が悪くなったのは、上記の理由にプラスしてコロナ対策による店頭販売が減ったことが原因です。
基本的に店頭に来るお客さんの滞在時間は長い傾向にあります。そして販売方法は店員さんによる対面販売であり、常連のお客さんにとっては店員さんとの会話や洋服を選ぶ時間自体を楽しむ目的もあります。
しかし、狭い空間に長時間、複数人が滞在したり、試着の問題などコロナによる影響はアパレル業界にとっては大きな痛手です。
まとめ
超大手アパレルメーカーのワールドが一世を風靡した「オゾック(OZOC)」「アクアガール(aquagirl)」などの人気ブランドを終了し、40歳以上の販売職を除く一般社員に対して希望退職を募集する自体になっているのは異常事態といっても良いです。
コロナによって解雇されても求人数が激減している今、希望退職の意思を持つ社員などまずいないのではないでしょうか。
飲食店の営業時間短縮やパチンコ店への休業要請などアパレル業界に限らず様々な業界が厳しい状況にあります。
五代銀行グループの最終利益が前年同期比47.8減の4420億円になり半減している状態が、いかにどの業界も苦戦しているかを表しています。
今後、倒産件数や解雇が増えることは確実であることは言うまでもありません。