2020年9月1日より、山芳製菓株式会社の主力商品である「ポテトチップス わさビーフ」がリニューアルにされることがわかりました。
リニューアルに伴い味だけでなく、33年間続き広くした親しまれていた牛のキャラクター「わさっち」を止め、新しくキングコング西野亮廣氏がデザインしたことで、さらに話題になっています。
しかも、どちらかというとマイナスな意見が多く、ネット上では「なぜ?」の声が続々と上がっています。
そこで、この記事ではなぜ、30年以上も親しまれてきた企業の主力商品キャラクターを変えなければならなかったのか?
その理由について考察します。
目次
山芳製菓側がキングコング西野亮廣に依頼
わさビーフファンの皆さん、リニューアルしたわさビーフが9月1日(火)より発売となります。
キングコング西野亮廣氏のデザインで33年ぶりにキャラクターが生まれ変わった 新「わさビーフ」です。
味、デザイン、キャラクターともに新しくなります。
詳しい内容はこちらhttps://t.co/Y2ZR8siT6j pic.twitter.com/DgN8Ew7SIT
— わさビーフの山芳製菓 (@yamayoshiseika) August 18, 2020
山芳製菓公式サイトによると、経緯はこうです。
山芳製菓側から西野亮廣氏にリニューアルのサポートを打診したようです。
西野氏もわさビーフをよく買っているということで、プロジェクトがスタートしました。
そこで、メインキャラクターを含めたパッケージデザインは西野氏が監修し、その他商品開発については西野氏が運営しているオンラインサロン「西野亮廣エンタメ研究所」のメンバー有志との共同開発に至りました。
要するに、西野氏のファンである一般の人々の声を取り入れて開発したらどうだろうか?ということですね。
どうやったらファンを増やせるか?
さらに公式サイトではリニューアルの動機とも思える内容が記されています。
さらに打ち合わせを重ねる中で“どうやったらファンを増やせるか?”を検討するにあたり、 西野氏から「オンラインサロンメンバーとも共同で開発に取り組んではどうか?」とご提案をいただき、 消費者代表としてサロンメンバーとの商品開発会議が実現。 新たな味の方向性について、 グループワーク形式の会議で議論を交わしました。
つまり、山芳製菓側が「どうやったらファンを増やせるか?」と西野氏に相談しているということは、現状の売上には満足していないことがうかがえます。
現状の売上に対する打開策として西野亮廣氏に依頼したということでしょう。
もし、現状の売上に満足しているのであれば最主力商品である「わさビーフ」の味やデザインまで大きく変えるようなハイリスクな施策はしないでしょう。
ただし、消費者の嗜好に合わせてこれまでもデザインと味の改良は行っていて今回は3年ぶりのリニューアルなんですが、かなり思い切った印象は否めませんね。
ポテトチップ1本で勝負する山芳製菓
かつてCMまで売っていた「わさビーフ」を製造販売する山芳製菓ですが、現在はなんとポテトチップス1本で勝負をしています。
色々な味のポテトチップスを販売していますが、その他のスナック菓子は製造販売していません。
創業は昭和28年、群馬県磯部にて鉱泉煎餅(こうせんせんべい)の製造販売からスタートし昭和42年にポテトチップス製造を始めました。
なんとカルビーが、ポテトチップスを販売開始する8年前から始めていたのです。
しかし、ご覧ください。
現在業界ナンバーワンシェア50%を誇るのはカルビーです。
カルビーの公式サイトをご覧いただければわかるのですが、ポテトチップスをはじめとしたスナック菓子全般、シリアル食品等その他食品まで展開しています。
例えば、「じゃがりこ」「かっぱえびせん」などポテトチップス「うすしお」に並ぶメジャー商品があります。
マツコの知らない「ポテトチップスの世界」見てから興味持って、スナック菓子市場ちょっと調べてみた。
売上規模3,188億円
■各社のシェア
カルビー50%
湖池屋12%
山崎製パン11%
おやつカンパニー6%
日本ケロッグ4%
その他企業が約2%https://t.co/7oFLXJ3BqN @togetter_jp pic.twitter.com/NMlIg2Ynca— kato@8/30 熊谷 ツール・ド・ニッポン2020 ~ BURNING MAN RACE出ます。 (@kuromitsu_ka) May 4, 2019
一方、現在の山芳製菓はポテトチップスのみが主力商品です。
山芳製菓側が「どうやったらファンを増やせるか?」と述べているということは、西野氏の影響力に期待し、起死回生を狙っていると考えることもできます。
なぜ、山芳製菓側が敢えて西野氏を選んだのか?はわかりませんが、おそらく芸人や画家としての知名度、インフルエンサーであるためそれに頼ったことは間違いないでしょう。
リニューアルされたポイント
■味
- 現行品をベースにわさび感をアップ
- わさびのシャープな刺激感を表現
- キレの良い後味
■デザイン
- ユーザーに馴染みのある現行品のデザインベースを踏襲
- リボンやロゴを改良し、より店頭で映えるデザイン
■キャラクター
- シンプルな造形で描く、ゆるさ・かわいさ・親しみやすさのあるわさビーフらしいキャラクター
なぜビーフなのに豚?「わさっち」から「わさぎゅ~」へ
デザインを比較してみればすぐわかるのですが、33年間愛されてきたキャラクターは白に茶色のブチ模様のホルスタインのような「牛」です。
一方、西野氏がデザインした新キャラクターは緑色の牛のようなブタに見えます。
ネット上にもこんなコメントが多数ありました。
わさビーフのキャラが変わるのは色々理由があるだろうけど、
問題はなぜビーフなのに牛から豚に変わったかだ。 pic.twitter.com/eN4IuZTKkZ— チカモリ鳳至(ふげし) (@tikamorifugesi) August 18, 2020
西野氏の新デザイン「わさぎゅ~」の鼻がブタ鼻なのでブタと指摘されても仕方ないですね。
また他社おやつカンパニーの商品「ベビースターラーメン」のキャラクターが変わって失敗した例を挙げている方もいらっしゃいます。
なぜ失敗を繰り返す……
超絶不評だったベビースターラーメン新キャラ事案思い出して欲しい。#わさビーフ #キングコング西野 pic.twitter.com/6UphVwJZsG— Y(やや毒) (@yotsuba158) August 18, 2020
キャラクターは商品の顔であることを忘れてはいけない
商品キャラクターというのは単に販促目的のためにあるのではなく、そのキャラクターを見ただけで特定の商品を思い浮かべられる商品の「顔」「看板」であることを忘れてはいけません。
例えば明治製菓が販売している「カール」の商品キャラクター「カールおじさん」というネームを聞いただけで、多くの人は何も見なくてもだいたいの姿を思い起こせるのではないでしょうか?
https://twitter.com/eve_toshi32/status/1295701180996186112
また、熊本県のキャラクター「くまモン」や千葉県船橋市の「ふなっしー」についても同様のことが言えます。
つまり、商品と商品キャラクターは密接に関係しており、33年間に渡り多くの人に認知されているキャラクターを変更することは商品販売においてかなりリスクが高い行為です。
ですが、まずはデザインよりも味です。
新「わさビーフ」の味が受け入れられれば、キャラクター変更に関しては、たいした問題にはならないでしょう。
果たして
- 現行品をベースにわさび感をアップ
- わさびのシャープな刺激感を表現
- キレの良い後味
新しい「わさビーフ」がどう変化しているのか楽しみです。