NHK大河ドラマでは、何らかの理由で降板した人、そしてその代わりに起用された人、いわゆる“代役”についたケースがあります。
この記事では歴代大河ドラマの代役と、近年の主な降板理由と起用俳優についてまとめました。
大河ドラマ代役歴代一覧表
大河ドラマは一般的なドラマと異なり、撮影期間が長いこと、また出演者が多いことから降板、代役の件数も多いです。
過去作においては、名前も知らない俳優さんも多く見られます。
年 | 作品タイトル | 降板 | 代役 |
1963 | 花の生涯 | 神山繁 平幹二朗 加藤武 森光子 巌金四郎 大山克巳 郡司八朗 松木悟郎 鳳八千代 |
久米明 内田稔 山形勲 山岡久乃 浮田左武郎 戸枝幸男 永田光男 山口幸生 八千草薫 |
1964 | 赤穂浪士 | 細川俊夫 滝雅男 葉山葉子 小沢重雄 |
内藤武敏 大塚周夫 西口紀代子 坂東簔助 |
1965 | 太閤記 | 小林昭二 市村竹之丞 月形龍之介 伊藤雄之助 浜木綿子 |
松山照夫 大山克巳 上田吉二郎 山茶花究 結城美栄子 |
1966 | 源義経 | 宇野重吉 南広 大滝秀治 |
市村家橘 服部哲治 高橋正夫 |
1967 | 三姉妹 | 金田龍之介 瑳峨三智子 |
蜷川幸雄 中村玉緒 |
1968 | 竜馬がゆく | 細川俊之 加賀邦男 田村保 小柳修次 滝謙太郎 |
長谷川哲夫 安部徹 山本耕一 平野稔 吉田義夫 |
1970 | 樅ノ木は残った | 鷲尾真知子 小沢悦子 |
里見京子 渡辺康子 |
1971 | 春の坂道 | 金田龍之介 菅野忠彦 |
須賀健 川辺久造 |
1972 | 新・平家物語 | 高田直久 江守徹 |
石川徹郎 加村赳雄 |
1973 | 国盗り物語 | 浅丘ルリ子 石橋正次 坂口芳貞 |
松原智恵子 中島久之 丸山持久 |
1974 | 勝海舟 | 渡哲也 高橋昌也 芦田伸介 |
松方弘樹 土屋嘉男 原保美 |
1975 | 元禄太平記 | 滝沢修 伊丹十三 山内明 |
芦田伸介 木村功 竜崎勝 |
1976 | 風と雲と虹と | 砂塚英夫 伊藤正博 |
横森久 清家栄一 |
1977 | 花神 | 渡辺次雄 | 平島正一 |
1978 | 黄金の日日 | 室田日出男 | 梅野泰靖 |
1979 | 草燃える | 山形勲 伊藤蘭 |
金田龍之介 池上季実子 |
1980 | 獅子の時代 | 西城秀樹 浜村純 |
清水健太郎 日野道夫 |
1981 | おんな太閤記 | 吉田友紀 南沢一朗 鶴岡修 |
芹沢安比沙 南友紀 村上幹夫 |
1982 | 峠の群像 | 木村功 岩井友見 加藤嘉 立花正太郎 |
山内明 五十嵐めぐみ 北見治一 千波丈太郎 |
1983 | 徳川家康 | 沖雅也 岸田森 荒木しげる |
若林豪 寺田農 内田勝正 |
1984 | 山河燃ゆ | 京塚昌子 | 丹阿弥谷津子 |
1987 | 独眼竜政宗 | 滝田栄 | 西郷輝彦 |
1988 | 武田信玄 | ジョニー大倉 | 美木良介 |
1989 | 春日局 | 山本陽子 堤大二郎 坂口良子 |
長山藍子 斉藤隆治 夏樹陽子 |
1990 | 翔ぶが如く | 江角英明 ミランダ・ケンリック 大倉順憲 |
飯田和平 ジュラルディン・トゥイリー 山田幸伸 |
1991 | 太平記 | 萩原健一 平幹二朗 緒形直人 |
根津甚八 近藤正臣 高嶋政伸 |
1992 | 信長 | トニー・セテラ | ジョバンニ・ブッチ |
1993 | 炎立つ | 北大路欣也 | 渡瀬恒彦 |
1994 | 花の乱 | 高品格 島田陽子 |
織本順吉 檀ふみ |
1995 | 八代将軍吉宗 | 山田五十鈴 宮崎ますみ 松村達雄 高橋悦史 東千代之介 |
藤間紫 森口瑤子 根上淳 石立鉄男 菅原謙次 |
1997 | 毛利元就 | 萬屋錦之助 | 緒方拳 |
1998 | 徳川慶喜 | 船越英二 | 宝田明 |
1999 | 元禄繚乱 | 御木本伸介 平田満 |
川辺久造 石田太郎 |
2000 | 葵 徳川三代 | 長門勇 | 須藤正裕 |
2003 | 武蔵 | 時任三郎 | 吉田栄作 |
2006 | 功名が辻 | 杉田かおる | 三原じゅん子 |
2007 | 風林火山 | 風間トオル | 利重剛 |
2014 | 軍師官兵衛 | 石田太郎 藤村志保 |
磯部勉 広瀬修子 |
2016 | 真田丸 | 高畑裕太 | 大山真志 |
2018 | 西郷どん | 斉藤由貴 市原悦子 |
南野陽子 西田敏行 |
2019 | いだてん | ピエール瀧 徳井義実 |
三宅弘城 出演シーン減少 |
2020 | 麒麟がくる | 沢尻エリカ | 川口春奈 |
2024 | 光る君へ | 永山絢斗 | 竜星涼 |
近年の大河ドラマ 主な代役まとめ
ここからは近年の主な代役が経った経緯について紹介します。
1974年「勝海舟」
- 降板:渡哲也(主演)
- 降板理由:病気
- 代役:松方弘樹
主演の勝海舟を演じていた渡哲也さんが、膠原病に倒れたことが原因で、10話以降は松方弘樹さんが代役になりました。
当時、松方弘樹さんは超多忙を極める人気俳優で、代役を引き受けてもらえるような状況ではなかったそうです。
しかし、脚本家の倉本聰さんが東映の社長と直談判をした結果、松方さんに受けてもらえた経緯があります。
ところが、NHKの労使対立問題により制作体制が定まっていなかったことから、現場は不穏な空気になっていきます。
脚本家の倉本聰さんと演出スタッフが揉め、中沢昭二さんに交代。
代役として主演になった松方弘樹さんも不満が爆発し相当混乱したドラマだったようです。
1978年「黄金の日日」
- 降板:室田日出男
- 降板理由:逮捕
- 代役:役柄自体消滅 梅野泰靖
大河ドラマがスタートしてまもなくの、1978年2月13日に覚せい剤不法所持容疑で逮捕されたため、役柄自体が消滅しました。
その後、謹慎生活に入ります。
現在の風潮ではあまり考えられませんが、翌年には復帰、1992年には第35回ブルーリボン賞で助演男優賞を受賞しています。
1991年「太平記」
- 降板:萩原健一
- 降板理由:病気
代役:根津甚八
新田義貞を演じていた萩原健一さんが、真珠腫性中耳炎を患ったことで降板、根津甚八さんが代役を務めました。
太平記は天皇家が絡む複雑なテーマなゆえ、長い間ドラマ化はタブー視されてきました。
そのため、南朝方の皇族や武将が祀られる諸神社や神社本庁の他、保守系政治家への根回しなど当時としては、思い切ったテーマ選びだったことがわかります。
1997年「毛利元就」
- 降板:萬屋錦之介
- 降板理由:病気
- 代役:緒形拳
尼子家当主、尼子経久を演じる予定だった萬屋錦之介さんが病気のため降板。
代役として緒形拳さんが務めました。
萬屋錦之介さんはその年の1997年3月10日に64歳の若さで亡くなっています。
2006年「功名が辻」
- 降板:杉田かおる
- 降板理由:スケジュール都合
- 代役:三原じゅん子
秀吉の家臣、堀尾吉晴の妻、いとを演じる予定であった杉田かおるさんが降板。
代役として現参議院議員の三原じゅん子さんが務めました。
理由として杉田かおるさん側から「スケジュール量のイメージが違う」と申し出があったとこのこと。
ただ、当時一部では“ドタキャン”と言われています。
2016年「真田丸」
- 降板:高畑裕太
- 降板理由:逮捕
- 代役:大山真志
2016年8月23日映画「青の帰り道」の撮影の滞在先で逮捕。
当然のことながら「青の帰り道」、「真田丸」は降板になりました。
高畑淳子さんの息子として注目をされ始め、テレビでも活躍していたため降板した作品はこのほかにもありました。
「真田丸」の代役は主に舞台・ミュージカルで活躍している大山真志さんが務めています。
2018年「西郷どん」
- 降板:斉藤由貴
- 降板理由:スキャンダルによる辞退
- 代役:南野陽子
天璋院篤姫の御年寄(教育係)、幾島(いくしま)役を演じる予定だった斉藤由貴さん。
自身の不倫騒動により辞退。
それにより南野陽子さんが代役を務めました。
2019年「いだてん〜東京オリムピック噺〜」
- 降板:ピエール瀧
- 降板理由:逮捕
- 代役:三宅弘城
ピエール瀧さんは大塚の足袋屋「播磨屋」の店主、黒坂辛作役として出演。既に放送が始まっていた2019年3月12日に逮捕。
第4回から10回までの放送があったが、第10回の再放送ではピエール瀧のシーンはカットされています。
代役の三宅弘城さんは、多くのドラマ、舞台等に出演しており最近ではドラマ「だが、情熱はある」にて南海キャンディーズの山ちゃんこと山里亮太の父、山里勤役を演じています。
2020年「麒麟がくる」
- 降板:沢尻エリカ
- 降板理由:逮捕
- 代役:川口春奈
沢尻エリカさんは、明智光秀と従兄妹関係にあったとされている斎藤道三さんの娘、織田信長の正室の濃姫(帰蝶)役を演じる予定でした。
しかし、自身の薬物問題による逮捕をうけ降板。
白羽の矢が立ったのは、川口春奈さん。
当初、時代劇の経験がないなど不安の声もありましたが、見事濃姫を演じました。
川口春奈さんの濃姫(帰蝶)のお芝居は多くの人の記憶に残っています。
2024年「光る君へ」
- 降板:永山絢斗
- 降板理由:逮捕により出演辞退
- 代役:竜星涼
平安時代の公家であり、藤原道隆の四男、藤原隆家を演じる予定だった永山絢斗さん。
2023年6月16日未明に逮捕。
幸いにもまだ永山絢斗さんの撮影は2023年8月以降だったため、始っていませんでした。
代役に竜星涼さんが決定しています。
竜星涼さんは、NHKとは相性がよく朝の連続テレビ小説「ひよっこ」「ちむどんどん」に出演。
大河ドラマは初挑戦になります。
最近では日曜劇場「VIVANT」にて阿部寛さんの部下、新庄浩太郎役として出演など活躍されています。
まとめ
大河ドラマで過去に降板になった俳優さん、その代役になった俳優さんについてまとめました。
降板になった理由は主に、病気や逮捕、スキャンダルなどです。
撮影期間が長い分、途中降板する人が多いのもわかりますね。
しかし、川口春奈さんのように代役によって役の幅が広がり、高い評価を受けるチャンスが巡って来ることもあります。
たくさんのキャストが出演する大河ドラマ、今後も代役の俳優さんが出てくる可能性は高いと思われます。