幸先詣(さいさきもうで)とは新型コロナウイルス感染対策として2020年に初めて提唱された初詣の分散参拝を目的とした新しい参拝方法です。
命名の由来は“幸先よく新年を迎えられるように”という願いから“幸先詣”になりました。
太古の昔からあるように感じてしまいますが、新型コロナウイルス感染予防対策として提唱した最新の参拝方法であることがポイントです。
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神社本庁に聞いてみた!幸先詣の正しい期間
神社本庁とは昭和21年に設立された組織でそれ以前から存在した民間神社関係団体である皇典講究所、大日本神祇会、神宮奉斎会の3団体が集まってできた宗教法人です。
伊勢神宮を本宗とし、日本全国約8万の神社が加盟しています。
その神社本庁に幸先詣はいつから行って良いのか?という正しい期間について聞いてみたところ、「蜜を避けてお参りできるのであればいつでも構わない、いつからいつまでという具体的に決められた期間は決まっていない」という回答でした。
また「幸先詣(さいさきもうで)」という言葉や期間など具体的なことに関しても神社本庁が提唱し、全国の神社に指導しているわけではなく、それぞれの神社が個別に行っている分散参拝方法の1つであることもわかりました。
そのため、誰が最初に「幸先詣(さいさきもうで)」と名付けたのかもわかりませんでした。
あくまで神社本庁としては分散参拝を呼び掛けているに過ぎないようです。
初詣という慣習は歴史が浅い
初詣ときいて太古の昔からお正月に行われている気がしますが、実は明治時代中頃から始まった新しいものなんです。
ただ、江戸時代までにも「年籠り」などという大晦日から元日にかけて氏神神社に籠る初詣の原形の慣習はあったようです。
なぜ初詣という現在のような慣習が広まったのか?というと鉄道の発達が大きく関係しています。
それまでは家の近くにある神社に参拝していたものが、鉄道の発達によって遠方へ行けるようになり、川崎大師や成田山新勝寺など元日に大きな寺社へ参拝する慣習が定着するようになりました。
このように神事としての歴史が比較的浅いことから、初詣=どうしても大晦日から元日にかけてやらなければならない参拝ではないという考えが根底にあると思われます。
そのため2020年に提唱された幸先詣についても特に決まりはないそうです。
蜜を避けてお参りするとういうのが神社本庁の回答でした。
幸先詣は正月事始めから?
幸先詣を積極的に取り入れている広島県にある廣島護國神社(広島護國神社)のホームページによれば、12月13日~12月31日まで等、基本的に年内に参拝を終える方法が取られています。
正月事始め(しょうがつことはじめ)とはお正月を迎える準備をすることで、現在の新暦12月13日です。
もともと旧暦12月13日に正月事始めが行われており、門松や薪を取りに行く慣習がありました。
江戸時代中期まで使われていた中国暦の1つである宣明歴(せんみょうれき)では、12月13日は婚礼以外はすべてにおいて吉とされているため、お正月の年神様を迎えるのに良い日として定められました。
年神様とは大年神(おおとしがみ)ともいう日本神話による神道の神様です。
“来訪神”といって毎年お正月にやってくる神様で、門松や玄関に飾るお飾り、鏡餅などは全て年神様をお迎えするためのものです。
全国的に決まっている参拝方式ではない
廣島護國神社では12月13日~大晦日までとなっていますが、幸先詣は全国一律で決まっている参拝方式ではありません!
繰り返しますが、新型コロナウイルス感染防止策として2021年のお正月の混雑を避けるために提唱した最新の参拝方式です。
正月事始めが旧暦、新暦とも12月13日であることからこの日を幸先詣の初日にしていますが、全国的にこの日でなければならないと決まっているものではありません。
まとめ
幸先詣をする本来の目的は蜜を避けるということ。
終夜運転の中止などが行われるため、遠方から来る人はかなり減ると思われますが、禁止されているわけではないため、全国各地にある有名な神社では混雑が予想されます。
こればかりは最終的には個人の判断に任されています。
「初詣は新年じゃなくても良い!」と言われてしまうと、じゃぁ今まで何十年と日本人がやってきた慣習は何だったのか?という気にもなりますが(笑)
特別な年、新しい生活様式の1つとして「幸先詣」という参拝方式が定着されることが期待されています。