種苗法改正案可決!なぜ柴咲コウは反対したのか?背景を詳しく解説!

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10月17日に種苗法改正案が衆院農林水産委員会で立憲民主党、共産党を除く与野党の賛成多数で可決されました。

種苗法改正案に関しては女優の柴咲コウさんが反対をツイッターで表明したこともあり、注目を集めたことは記憶に新しいと思います。

しかし、農業をしていない人にとって種苗法に関わることはほとんどなく、多くの人は何を目的として改正されようとしているのか?なぜ柴咲コウさんは反対しているのか?について詳しく知らないと思います。

そこで、この記事では種苗法改正案が改正に近づいたことを機になぜ柴咲コウさんが反対したのか?まで背景を詳しく説明します。

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目次
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種苗法(しゅびょうほう)とは

まず、種苗法とは1998年5月20日に公布され、植物の新品種の創作に対する保護を定めた日本の法律です。

ここでポイントなのはあくまで“日本国内”で適用できる法律ということ。

あとで重要なポイントになるので覚えておいてください。

植物の新たな品種(花や農産物等)の創作をした者は、新品種を登録することで、植物の新品種を育成する権利(育成者権)を占有することができる旨が定められています。

種苗法改正の目的

今回、種苗法の改正案が出ている真の目的は新品種の海外流出防止のためです。

一部、グローバル種子企業といって、遺伝子組換え作物に力を入れている企業に対し、今まで国や県の農業試験場が管理していた種子開発等のノウハウを提供させるのが目的だという意見もあったりするのですが、一応、改正の目的は海外流出防止です。

例えば、以前帯広市のイオンで“雪香(ソリヒャン)”という韓国産のイチゴが販売されたことがあるのですが、実はこのイチゴ、日本生まれの品種であるレッドパールと章姫が無断で交配されたもので、生産どころか逆輸入品として日本で販売されていました。

また今やブドウといったらシャインマスカットというほど有名になったこの品種ですが、実は日本生まれのブドウです。

そのため、国外の農家が勝手に自国で栽培することは暗黙の了解で禁止されていました。

ところが農業視察などによって中国や韓国から来た者が無断で持ち出したため、許可なく国外でもシャインマスカットが栽培されているのです。

そのため、改正案では日本国内で開発、登録された種子や苗木に関して無断で海外へ持ちだすことを禁止にしています。

それにより農家の知的財産を守ることが目的です。

立憲民主党など野党は反対

立憲民主党や共産党は改正案に反対しています。

なぜか?それは原則“自家増殖”も禁止されるからです。

自家増殖(じかぞうしょく)とは農家が栽培した収穫物から種子を取り出して、翌シーズンのためにもう1回使うために行う作業を指します。

自家増殖が禁止されてしまうと、毎年種子を購入しなければならず、経費がかかるため採算が合わないという問題点があります。

そうすると、利益を得るために農家はどうするか?というと種子代を収穫物に上乗せして回収しようとします。

つまり、お米なり野菜なり、果物の価格が値上がりする可能性があるということです。

自家増殖を許諾性に変更

現在の種苗法では農家が翌年の生産に利用するために行う自家増殖は原則自由です。

しかし、改正案では許諾性に変更することが盛り込まれています。

なぜ許諾性にするのか?というと、現状のように原則自由にしておくと農家から第三者に流出する可能性があり、海外の生産者に流出するこよも十分考えられるからです。

そのため許諾性にすれば誰が自家増殖しているかを管理できるため、農家から第三者に種苗が譲渡されるリスクが減ると期待されています。

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なぜ柴咲コウは反対したのか?

柴咲コウさんが種苗法改正に反対した直接的な理由は立憲民主党や共産党と同じ理由で、“自家増殖”の禁止が農家を苦しめることになると懸念したからです。

ただ、自家増殖に関しては必ずしも農家が苦しむとはいえないようです。

もちろん、自家増殖によって翌年のために種苗を準備している農家もいるのですが、それよりも国内で年月をかけて開発、生産されてきた農作物が簡単に海外に流出し、安くで販売されることで受ける損害の方が断然大きいと考える農家さんもいるのです。

実業家として環境問題への関心が強い

柴咲コウさんが種苗法に反対した直接的な理由は“自家増殖”の禁止が農家を苦しめることになることを懸念したからということだとわかりましたが、なぜそもそも、役者である柴咲コウさんが農業分野に関してツイートしたのか?を疑問に持つ人も多いと思います。

実は柴咲コウさんは女優業だけでなく実業家の顔を持っています。

2016年にレトロワグラース株式会社を設立、CEOに就任しているのですが、この会社の業務内容は以下の3つの分かれています。

  1. エンターテインメント事業
  2. アパレル事業
  3. セレクトショップ事業

エンターテインメント事業というのは柴咲コウさんの芸能に関するお仕事なのですが、2018年に立ち上げた「衣・食・住」をテーマにしたファッションブランド「ミ ヴァコンス(MES VACANCES)」では地球環境を考えた商品を作っています。

例えばアパレル業では土に還る天然素材のコットン帆布(はんぷ)を使用したバッグであったり、セレクトショップ事業では植物由来成分を配合したスキンケア商品を販売しています。

そのような事業が評価され2018年には環境省の環境特別広報大使にも任命されており、環境問題に強い関心を持たれていることがわかります。

つまり、種苗法改正案への反対も自身の実業家としての関心からツイートされたものだということがわります。

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海外での品種登録が必要

種苗法改正案では種苗を開発した者が栽培地を国内、または特定の都道府県に限定し違反行為には差し止め請求権を認めています。

自家増殖を許諾性に変更することで農家から第3者への譲渡も抑制が期待されます。

このようなことから種苗法改正によって一定の効果は得られると見込まれているのですが、適用されるのは国内。

ダイレクトに海外流出を規制する法律ではありません。

そのため国内での自家増殖を許諾性にしたからといって種苗の流出が止まるわけではありませんし、そもそも農家が海外に流出させているわけでもないでしょう。

種苗法改正問題の本質は国内で取り締まるという問題ではなく、そもそも新品種を作ったら海外での品種登録をすることが重要です。

実はシャインマスカットを開発した日本の農研機構は、2006年に日本で品種登録を実施しています。

その際に輸出を想定していなかったため、海外での品種登録を行っていなかったんですね。

海外での果物の品種登録は国内での登録から6年以内に行うことが国際条約で定められており、すでに申請期限を過ぎてしまったというなんともお粗末な結果になりました。

まとめ

種苗法改正に関しては衆院農林水産委員会で可決されたため、国会にて賛成多数で可決される見通しです。

賛成派の意見は新品種の海外流出防止、柴咲コウさん含む反対派の意見は自家増殖禁止による農家の萎縮、衰退です。

賛成の立場では原則自由である自家増殖を許諾性にすれば、種苗の流出をある程度防げると考えられますが完全には難しいですし、自家増殖苗によって来シーズンの生産をしている農家の人を委縮させる可能性はあります。

一方、反対の立場では自家増殖を原則自由にすれば一部の農家を助けることになります。

しかし性善説に立たない限り、海外流出の可能性は現行と変わりません。

やはり種苗法改正問題は海外での品種登録という別問題で解決する必要があると思います。

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