2020年(令和2年)7月5日に実施される2020年東京都知事選挙に際し、「東京大改革2.0」を掲げている小池百合子現東京都知事ですが、その中の「都民ファースト」の視点での行財政改革・構造改革の3つめに「グレーター東京」(大東京圏)構想の推進があります。
小池百合子氏はこれまでワイズ・スペンディング(賢い支出)やアウフヘーベン(止揚)など難しいカタカナ語を使って話題になりましたが、今回の都知事選でも“グレーター東京”という言葉に注目が集まっています。
そこで、この記事では小池百合子氏の言う「グレーター東京」構想とはどういうものなのか分かりやすく解説したいと思います。
[quads id=1]
グレーター東京とは東京23区、多摩地域及び島しょ部のこと
グレーター東京とは大東京圏という訳になりますが、要するに東京23区、多摩地域及び島しょ部=東京都のことです。
ただ、小池都知事がいうグレーター東京(大東京圏)構想はまた別の意味になります。
グレーター:形容詞Greater
意味:大+(都市名)~の
使い方:グレーター・ロンドン(大ロンドン)、グレーターチャイナ(大中華地区・中華圏)
グレーター東京(大東京圏)構想とは?
まず、以下は小池百合子氏の公式サイトにもあるグレーター東京(大東京圏)構想の推進について3つの中身が掲げられています。
- 権限・財源セットでの国から地方自治体への権限移譲による地方分権
- 感染症・災害対策などに備えた広域連携、二重・三重行政の解消
- 「東京発」規制緩和・岩盤規制突破モデルの構築・推進
結論からいうと、東京都に関することは今以上に国から都に強い権限を移そう!ってことです。
地方分権の推進ですね。
思い出して欲しいのですが、2020年3月後半から4月初めにかけて都内での感染者急増を危惧していた小池都知事は、緊急事態宣言に関して早く国が決断してくれと促すコメントをメディアでしていましたよね。
そして緊急事態宣言が出された後、東京都が休業要請を出すにあたり「ホームセンターや床屋は対象なのか?対象外なのか?」など線引き関しても国と揉めました。
その原因は東京都が求める休業要請の基準が厳しすぎということで、国が待ったをかけたからです。
国の基本的対処方針には「休業要請は、都道府県が国と協議の上、外出自粛の要請の効果を見極めて行う」という規定がありました。
つまり、まずは国に相談してから決めてくれ!という内容です。
おそらく小池都知事はこのような東京都に関する意思決定が、国の了解を得ないとスムーズにできない仕組みにうんざりしているのだと思います。
だから、権限・財源セットでの国から地方自治体への権限移譲による地方分権などを可能にするグレーター東京(大東京圏)構想を掲げています。
グレーター東京構想とはグレーターロンドンのパクリ
グレーター東京という言葉は既にある「グレーター・ロンドン」のパクリだと思われます。
ちなみにグレーターロンドンという競走馬がいますがここでは関係ありません。
で、グレーター・ロンドンとは日本語で訳すと「大ロンドン」になりますが、どういうことかというとロンドンの行政区画を形成する自治体のことで、32区のロンドン区と中心部であるシティ・オブ・ロンドンから構成されています。
グレーター・ロンドンはグレーター・ロンドン・オーソリティー (大ロンドン庁 )という自治体の統治下にあります。
全く同じように日本の地方自治制度に当てはめられないのですが、イメージとして
東京都で例えるならグレーターロンドンが23区などの各区政、グレーター・ロンドン・オーソリティーが都政に当たります。
各区政には区議会があり、都には都議会がありますよね。
じゃあ、あまり今の東京都の在り方と変わりないのでは?と思うかもしれませんが、イギリスと日本では地方自治の歴史が全然違い日本よりももっと地方に権限があります。
つまり、小池都知事はグレーター・ロンドンのような権限の強い地方自治体を作りたいということが推察されます。
まとめ
グレーター東京について解説してきましたが、小池都知事が目指していることは分かりやすく言うと「東京都のことは東京都で決めます。あんまり口出さないでね!」です。
もちろん、現在でも東京都は他県に比べてお金がいっぱいあります。
為替レートの違いはありますが2019年度の東京都の予算案では約14兆9500兆円。これはスウェーデンの国家予算約13兆5000億円を1兆円以上越える額です。
それだけ財源はありますが、やはりイギリスと違って日本では都や知事の権限には制限があります。
これは橋下徹さんや吉村大阪府知事も仰っていますが、地方自治体にはやれることに限界があるわけです。
※(大阪都構想も“グレーター大阪”と呼ばれており、あれは大阪市に集中し過ぎた権限を大阪府に移し、大阪市と大阪府の二重行政解消を目指した構想です。)
“グレーター東京”という小池都知事特有のカタカナ語だけが目立ちますが、中身は地方分権を進める趣旨の公約です。